ものを測るということ

ものを測る(量る)ことの意味合いについてあまり考えたことがない人が多いだろう。それは当然のことであるし、あまりその重要性を認識することは少ない。

 

私は以前、東京本社のきれいな書庫の片隅で40年ぐらい前の本に出合って、ものを測ることの重要さを認識することができた。その本にはものを測る場合の精度(正確さ)のグラフと、人類の文明発展(人口増加)の相関を示すグラフがあった。

 

そこには、ものを測る場合の精密さ・正確さが向上するにつれて人類の科学技術は急激に発展し、文明が急激に発展、人口が爆発的に増加していることが説明してあった。当時は自分のしている仕事の意味が分からず、ある特定の材料の性能向上を支えるために特性を測ることが自分の仕事(つまらないが)だと思っていた。測定と文明の発展を示すグラフを見たとき、多種ある材料の機能向上よりも普遍的な意味が自分の仕事に含まれているような気がして感慨深かった。(当時の上司にその話をしたら、つまらんという感じで返された。つまらんのはあんたじゃないの。まったく。)

 

当然といえば当然で、ものを定量的には測ることによって自然科学は爆発的に発展した。

 

そして現代、ものを測定するには高価な測定装置が必要で、その装置はいろいろなメーカーが日々努力し開発・製造されている。それらを使っていろいろなものを測定し、新しいことを発見し、新しい技術が生まれ文明が発展していく。測定は初めは目で見たり、手や足の長さ、歩数をもとに距離を測ったりしていたのが、今や人類は遠い宇宙の果てのブラックホールを見るにまで至った。

 

ブラックホールから人類はまた何か新しい発見を得るだろう。そしてその発見を元に装置や機械が作られ、より正確に緻密にものを見て測定することができるようになるだろう。そしてそこから新たな発見が生まれ・・・

 

そして人類は進化していく。