図書館が近くにあって良い

引っ越してきて近くに大きな図書館があってとても良い。ちょっと気になる本があった時に図書館のデータベースを検索すると大体ある。それとは別に、ちらちらと本棚を眺めながら、目に止まった本を借りまくり、毎週のように乱読している。今借りている本は6冊で、読み終わったのは下記だ。

 

■開業医はなぜ自殺したのか/矢吹紀人(著)

山村の開業医が診療方針の指導を恫喝まがいに国の技官から実施され、それを苦に自殺してしまった。非常に悲しい事件を描いたルポルタージュ。問題の老技官は一生懸命仕事をしたのだろうが、人を死に追い込むのはやはり異常。国も事実を隠蔽しようとするし、どうして人間はこのような行動を取ってしまうようになるのか。ひどい話だと思いながら読む。救いは医療関係者、患者さんたちが起こした運動が大きくなり国も動かしたこと。まだまだ人間の善意を信じようと思う。

 私の務める会社にもコンプライアンスだなんだと喚き散らし、起きもしないリスクや守り用もないルールをを楯に恫喝まがいに人間を追い詰める精神異常者がいる。こういう人間に権力を持たせてはいけない。アイヒマンの実験、看守と囚人の実験を思い起こさせる。

 

■犯人よ話してくれてありがとう/小山順(著)

長野県生坂ダム事件の真相を23年間にも渡って追ったルポルタージュ。軽い言葉では語られない内容だし、ダムの事件と言いながらもこれは被害者の壮大な人生の物語にも取れる。世の中には不可解な事件が山のようにあり、不可解な自殺扱いされたものも多い。殆どが警察のことなかれ主義、面倒なことに関わりたくないというものすごく単純で、職務放棄ともいえる謎の行動原理に基づいている。調べたくないなら警察やめてほしいと思うのは私だけだろうか?

とてつもない苦労をして産んだ子供が、全く理由のない殺人に巻き込まれ命を奪われる。まともな捜査もされず23年後に時効になったからと犯人の証言により事実が明るみに出る。長きに渡って真相追求してきた夫婦のうち、夫は途中で命を断つ。全く、一体何をしたんだというくらいの出来事の嵐。根拠のない暴力と不条理が人間を襲う、コーマックマッカーシーの小説の類似性を感じる。ただこの本の救いは、お母さんの強靭で優しさにあふれた精神力にある。極限における人間の強さに衝撃を受けた。

 

<つづく>