創造主の選択/J.P.ホーガン を読む

前作、創造主の掟の続きの内容だがこちらの方がSFとして非常に面白く読むことが出来た。時々考える”自分のすべての思考をデータ化し、プログラム言語に書き直して電子的に保存すればハードウェアが存在する以上、自分の寿命が継続できるのでは”という考えが載っていたのが興味深い。異星の進化したAIが簡単な手品に騙されてしまうあたりも、高学歴のカルト信者のようで笑えるような笑えないような。最後、仕掛けがバレたらどうしようとちょっと思ったが、そんなことは問題にならずにあっさりと終了。電脳の世界と機械で出来た文明をイメージすると、漫画『BLAM!』をちょっと思い出した。

自分をコード化し、保存するのは良いがハードウェが肉体の代わりになっただけであまり不老不死とは思えない。最近考えていたのは、自然界の特異なパターンの組み合わせをプログラムのコードとして利用する方法がないかなということ。例えば、特定のスピン量子数などを元素をいくつか組み合わせて自然界に紛れ込ませたり、磁場や時空の歪みなどを使えないか?また、ウィルスの遺伝子情報に同様なコードを紛れ込ませる方法もあるかもしれない。そんな人間が作り上げるのは最初だけで自然界にその後ずっと存在し続ける物質、エネルギーなどに人間の情報を書き込む方法がないかとか考えたりしている。

今現在最も膨大なエネルギーを取り出す方法とは何だろうか?物質から莫大な量のエネルギーが取り出せるが、物質(微粒子などで構成されたエネルギーの塊?)以外で莫大なエネルギーを保持するものは?E=mC^2から見るとエネルギーの要素は質量と光しかないがどうなのだろう。ダークマターや時空の歪みの持つエネルギーはどれくらい?などなどホーガンの小説は科学について色々と考えさせてくれる良いカンフル剤になっている。

とにかく前作の植民地を巡る支配階級の善悪(帝国主義か否か)の戦いから、もっと科学技術よりの話で面白かった(読むのに時間はかかったが)。