思考実験のはてに

論理療法というものがある。思考と行動と感情は一体となっており、そのどれかを変化させることによって、それぞれが影響し合い変化していくというものだ。

 

アルバート・エリスはどんな状況でも考え方、受け取り方を変えれば何も苦にならないという。エピクテートスの考え方から来たものだろう。たしかにそうかもなと思って、考え方や受け取り方を変える努力は幾度となく実行し、訓練した。エリスは訓練が大事だと言う。結局、訓練したけどもダメなものはダメで本に書いてあるとおりにはならず、転勤して環境が変わって半年ぐらいしたらものの見事に感情的な不愉快さは低減した。

 

つまり、考え方をいくら変えても心の底の性格はあまり変えようがないし、それを無視して環境に無理に適用するのは自分を欺いているということだ。

 

いちばん大事なのは、だめだこりゃと思った時点で何らかの行動を起こすことだ。多少リスクがあったとしても何もせずに耐えるよりはまだマシだ。(軍事教官の本によると、疲労が蓄積した状態で耐えられる期間は約2年だ。)

 

この日本社会には忍耐が美徳のようにもてはやされる価値観が浸透しているが、そんなもの奴隷生産工場に掲げられた企業理念のようなものだ。

 

おかしな環境からは賢く抜け出し、そんな世の中を一歩ひいて眺める知恵が必要だ。

 

まさに、「蛇のように賢く、鳩のように従順に」( マタイによる福音 10:16 )の言葉通りだ。